アレクサンダーテクニークとは?

アレクサンダーテクニークは約100年前にオーストラリアの役者・朗唱家であったF.Mアレクサンダー氏が提唱した身体と思考の使い方のメソッドです。

身体本来の構造(デザイン)を知り、物理的に身体を効率的に使うことによって演奏や演技、スポーツなどでパフォーマンスを上げたり、肩こりや腰痛などの身体の痛みを改善することができます。

 

 

 

【アレクサンダーテクニークとは・・・】

 

アレクサンダーテクニークは身体の本来の構造(デザイン)に沿って身体を動かすことで、よりスムーズに、痛みなく、効果的に身体を使うことができます。

 

例えば日々の生活や活動の中でこのようなことはないでしょうか?

・長時間デスクに座っていると肩や腰が痛くなってしまう
・重いものを持ち上げたら腕や腰を痛めてしまった
・歌や楽器を演奏していると体が痛くなってくる

これらの不調は、体本来の構造にそぐわない使い方をし続けてしまった結果起こってくることなのです。

 

 

またこのようなことはどうでしょう?

・怖い上司の前で話そうとしたら上手く話せなかった
・人前で演奏したり、プレゼンしたりするのは苦手だ
・緊張したら何を言いたいのかわからなくなってしまった

人は頭の中で考えていることがストレートに体の動きに影響を与えます。
ということは逆に頭の中の思考を変えれば体の動きも変わる、ということです。
また体の使い方次第で思考に影響を与えることも可能です。

 

 

アレクサンダーテクニークは上記のような問題を感じている人が、体の使い方の「クセ」に気づいて、より効率のいい使い方を習得することで、根本的に問題の解決にアプローチします

姿勢が悪い、と思っている人も多いですが、実は人間だれしも無意識のうちに体のいろいろなところでたくさんの「クセ」を持っているものです。

もしその「クセ」が人体の構造的に無理があると痛みというサインやパフォーマンスの低下という形で表れてくるのです。

 

 

体の問題に対する解決として整体やマッサージが一般的な手段ですが、アレクサンダーテクニークはこのような施術、治療と比較して大きなメリットがあります。
それは

「その人自身が自分の緊張や体の癖に気づいて、自分でやめることができる」

ということです。

 

 

整体に行って、その日はなんだかスッキリ楽になったけど、また数日後には同じ痛みが復活してしまう、なんてことはありませんか??

アレクサンダーテクニークの場合は、問題の根本の原因を自分で気づいて解消することができるため、長期的な改善に繋がりやすいのです。

 

 

 

【アレクサンダーテクニークの効果】

大きく分けて3つのことに効果が期待できます。

 

1、身体的な痛みを解消する
多くの人は肩こりや腰痛、職業病に悩まされていますが、根本の問題は本来の身体の構造(デザイン)に合わない動きを長い時間続けていることにあります。
(事故などの外的要因は除く)
特に慢性的な腰痛に関しては、医学誌の世界的権威である英国医学雑誌(British Medical Journal) が579名を対象に約5年をかけてアレクサンダー・テクニークの有効性が調査され、86%という非常に高い腰痛解消率が報告されています。

また身体的問題への高い効果から欧米の一部の国では医師の処方があれば保険の対象にもなっています。

 

*効果を実感しやすい人
腰痛・肩こり・膝痛・首の痛み・頭痛などの慢性的な痛みのある人
疲労がなかなか取れない人
あがり性、緊張しやすい人
歩き方や姿勢に自信のない人、見直したい人
特定の動き・姿勢をすると疲れてしまう人

 

 

・パフォーマンスの向上
歌、楽器演奏、演劇、スポーツなど「身体の使い方」が結果に大きく影響するこれらの分野では、世界一流の芸術大学や演劇学校で必須の授業としてアレクサンダー・テクニークが取り入れられています。
オリンピックではドイツ・スペインなどの乗馬代表チーム、野球の米国代表チームのコーチングにおいてアレクサンダー・テクニークが取り入れられる等、スポーツ分野でも注目を集めています。

 

楽器演奏・歌手
ダンサー
俳優
プレゼンテーションやコミュニケーションスキルの向上を求める人(教師・ビジネスマン等)
セラピスト
各種スポーツをやる人、コーチ、トレーナー
ヨガ、ピラティスをやる人、インストラクター
フィットネス・エクササイズをやる人、トレーナー

 

*アレクサンダーテクニークを授業として取り入れている学校例
ジュリアード音楽院
ニューヨーク・アクターズ・スタジオ
ワシントン大学
英国王立演劇アカデミー
ロンドン音楽演劇学院
オーストラリア国立演劇学院

など

 

*著名な実践者
ポール・ニューマン(アカデミー主演男優賞 受賞俳優)
ポール・マッカトニー(ミュージシャン)
キアヌ・リーブス(俳優)
スティング (ミュージシャン)
ニコラス・ティンバーゲン(ノーベル医学生理学賞受賞 動物行動学者)
鈴木重子 (日本ジャズヴォーカル大賞・新人賞 歌手)
ロビン・ウィリアムズ(アカデミー助演男優賞受賞 俳優)
ジョージ・バーナード・ショウ (ノーベル文学賞,アカデミー脚本賞受賞 劇作家)

 

 

・自分自身への理解を促進
自分自身が抱えている不安やストレス、考え方が身体の動きに影響を与えていることがあります。

例えば上司の前で緊張して思うように話せない、失敗するかもしれない不安から思い通りのパフォーマンスができないなど。

自分自身の思考を観察し、不安を呼び起こさない新しい考え方に切り替えることは、身体の動きをよりスムーズに、力強くします。

このように身体からのSOSに真摯に向き合い、考え方を変えることで体の問題を解決することもアレクサンダーテクニークの一部です。

これは自分自身の思考や生き方を見直すことに繋がり、よりその人らしい生き方を選択することが可能になるのです。

 

不安がある人
ネガティブな考え方を持ちやすい人
自分に自信のない人
緊張しやすい人
ストレスが多い人

 

 

 

【実際に体験してみよう!】

ここまでで

 

・体の痛みをなくすことやあらゆるパフォーマンスを向上させるためには、体の構造(デザイン)にあった使い方をすることが重要であり、そのメソッドがアレクサンダーテクニークである。

 

・アレクサンダーテクニークの主な効果は3つある。

 

ということをご理解いただけましたでしょうか?

 

 

「体の構造(デザイン)にあった使い方って何?」

と思われる方もいるかもしれません。

 

ここで身体の構造(デザイン)にあった使い方と、あっていない使い方を両方試してみて、あなたの体の動きに実際にどのような違いがあるのか体験してみてください。

今回は一番大事なポイント、頭と脊椎(首と背骨)の使い方に着目してみます。

AとBの2つの違う条件で指を動かしてみて、動き方の違いを見ていきたいと思います。

 

 

まずは身体の構造(デザイン)にあっていない使い方です。

 

「あなたの頭が胴体の方に近づいていく」

 

と思ってみてください。矢印の方向です。

 

 

この状態で片腕をぐるぐると回してみてください。

 

 

腕の回り具合はどうですか?

首の感じは?背中からはどんな情報がきますか??

この感覚、覚えておいてくださいね。

 

 

次に身体の構造(デザイン)にあっている使い方です。

 

先ほどの頭が胴体に近づいている状態から

「頭と首は自由に動くことができる」

と思ってみてください。方向としては頭は赤い矢印の方向に動けます。

さて、この状態でも腕を回してみましょう。

 

 

いかがでしょうか?

どのような違いがありましたか??

 

 

この違いが身体の使い方で動きが変わる、ということなのです。
特に頭と脊椎の関係性は腕の動きだけではなく、身体全体のすべての動きに影響を与えてしまうほど重要なポイントなのです。

 

さて、あなたは皆の前でプレゼンをするとき、カラオケで歌うとき、日々のパソコン仕事の最中・・・

あなたの身体はどのような状態でしょうか?

 

よりよい状態になりたいと思うのならば、アレクサンダーテクニークは役に立つかもしれません。

 

 

 

【アレクサンダーテクニークの原則】

身体の構造(デザイン)にあった使い方のアイディアはそれこそ無限にありますが、その中でも特に身体全体に影響を及ぼす場所があります。

それが体験していただいた頭と脊椎の関係性です。

 

「頭と脊椎が自由に動けるとき、身体は自由に動く」

 

これはアレクサンダーテクニークを開発したF.M.アレクサンダー氏が発見した原理です。

 

 

少しこのアレクサンダー氏について少しご紹介します。

 

F.M.アレクサンダー氏は1869年生まれのオーストラリアの役者・朗唱家です。
シェイクスピアの若手俳優として活躍していたアレクサンダー氏はある時、舞台でセリフを言おうとするとまったく声が出なくなってしまいます。
普通に会話をしている分に問題はなく、セリフを言おうとするときだけ起こる問題でした。
当然病院で診察を受けますが、のどまったく異常はないと診断されてしまうのです。

 

そこであきらめなかったアレクサンダー氏は三面鏡を買ってきて、自分の喋っている姿を観察しました。
長いこと観察を続けていると、普段話すときと、セリフを言うときの違いが見えてきたのです。

 

その違いは、セリフを言おうとするとわずかながら頭を下に押し下げて、首の部分を固めている、ということでした。これは普段話しているときには起こらない現象だったのです。

 

「頭が脊椎を押しつぶしているとき、身体全体の動きは制限される」

逆に言えば

「頭と脊椎が自由に動けていれば、身体全体は自由に動く」

 

(脊椎とは首、背骨を含んだ部分の総称であり、腕や骨盤、脚はすべて脊椎に繋がっている。それゆえ脊椎が自由であれば身体のすべての部分が効率的に動くようになる)

 

これがアレクサンダー氏の発見であり、アレクサンダーテクニークの一番大きな要素なのです。

 

さらに言えば「頭と脊椎が自由になる」ための方法がアレクサンダーテクニークともいえるため、扱う幅は解剖学的知識から心理学、コーチングなど先生によって多様な解決方法を持っています。

 

原則がシンプルなためあらゆるジャンルの問題に対応できるというのがアレクサンダーテクニークの強みであると言えるでしょう。

 

 

【まとめ】

いかがでしょうか?アレクサンダーテクニークがどのようなものか、少しは実感していただけましたでしょうか?

 

身体の痛みは身体からのSOSです。
そういうときはなぜSOSと言ってくるのかを紐解いてあげましょう。
身体の使い方に無理があるかもしれないし、自分の考えていることから身体に悪影響が出ているかもしれません。

 

自分の身体と思考を振り返ってみてあげてください。

 

改善手段がアレクサンダーテクニークです。

 

 

 

【アレクサンダーテクニークを通して伝えたいこと】

アレクサンダーテクニークの学校で勉強する中でとても心に響いている言葉があります。

 

「あなたの中に答えはある」

 

これはコーチングなどでもよく言われることですが、アレクサンダーテクニークでもとても実感できることです。

 

あなたのその身体はあなたしか持っていないもの。
あなたならではの使い方がある。

 

あなたの考えはあなただけしか本当の意味では分からない。
あなたが本当に何を望んでいるかはあなたしか分からない。

 

アレクサンダーテクニーク教師のお仕事は

「あなたの中にある答えを見つけるお手伝いをすること」

 

そして私のテーマは「自分らしく楽に生きる」です。
自分らしく楽に生きる人がもっともっと増えていってほしい。

 

アレクサンダーテクニークはまさに、「自分らしく楽に生きる」ということを実現させてくれるメソッドであると私は確信しています。

 

あらゆる痛みや悩みから解放されて、あなた本来のパワーと個性の輝きが発揮されるお手伝いができることを心から楽しみにしています。

 

 

そのためにも教師資格取るべく、勉強がんばります(笑)

 

2019.7.13改定

投稿日:2018年9月15日 更新日:

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